だから何ですか?
だから亜豆の言わんとする事はよく分かるし、楽しいを通すのであれば趣味の範囲が一番だろう。
「いいな。・・・亜豆の撮る写真・・好きだ」
「・・・・・」
「・・・何?」
「いえ、・・・嬉しいなと思っただけです」
お世辞とかではなく純粋に自分の好みに合うと思っての一言。
それを零せばカメラから俺の横顔に亜豆の視線が集中したのが分かって、じっと見つめてくる姿に疑問を返せばふわりと笑って『嬉しい』を響かせる。
なんとなく『嬉しい』までの無言の間に違和感はあれど、発せられた言葉に嘘の感情も見えない。
だから特別意味はないのだろうと自分で落として、再びカメラの画像を漁っていれば。
「あ、ここです。家」
そんな声に反応してカメラから視線を動かして、ここだと目の前で指さす亜豆を確認してから更に視線の移動。
「レトロ・・・。団地風なのか?エレベーターとか無い感じ?」
「はい。4階建てなので。オートロックのセキュリティ万全マンション時代に未だインターフォンも画像なしです」
「それ、大丈夫か?一人暮らしの女子として危険じゃないのか?」
「番犬がいるんです」
「犬なんか飼ってるのか」
へぇ、と思いながら再度亜豆の住まいというマンションを見上げる。