だから何ですか?





最初の感想通りにレトロ。


でも、ただ古ぼけた汚い建物とかそういうのではなくて、オシャレレトロと言うのか。


壁に伝う蔦でさえオシャレの演出のアクセサリーの様で、アンティークの様な洋風の建物は高層マンションとは違った魅力を放ってひっそりと住宅地の端にある。


こういう雰囲気は嫌いじゃないし・・・いや、むしろ好きだ。



「ここの3階、明かりがついてるところが私の部屋です」


「何で明かりついてるんだよ」


「だから、犬がいるんです」


「はっ?毎日つけっぱなし?電気代かかりそうだな」


「そんなわけないでしょう。今日は帰りが遅くなりそうだって分かってたので」


「ああ、成程」



納得した。と明かりのついている部屋を見上げて息を吐く。


冷え切った空気を示す様に濃く白く漂う靄を消えるまで見つめてから『さて、』と意識を切り替え亜豆を見下ろす。


見下ろした亜豆も俺を見上げてきていて、こういう何とも言えない別れ際の空気も久しぶりだと思いながらフッと口の端を上げてみせた。



「・・・えっと、・・・上がりますか?お茶くらい、」


「いや、やめとく。上がってお茶飲んだら絶対に送り狼になる自信があるし」


「変な自信をお持ちですね」


「まぁ、予約券を使える日が来たら・・・お邪魔させてもらおうかな」


「じゃあ、そう遠くないですね」


「・・・・・・・」



最後の最後まで・・・どこまでも煽りをかけてくるんじゃねぇっての。



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