だから何ですか?
そう遠くない。
さらりと平常スタイルで言いきられた言葉に過剰に反応して期待した自分の阿呆さ加減。
その瞬間に、もし部屋に上がってたら絶対に襲っていた流れになってたなという自分を再確認して苦笑い。
そんな俺の複雑な心中なんてまるで分かっていないだろうお嬢さんは『おやすみなさい』なんて言ってすでに半身をマンションの方へ向けていたりする。
その、余韻もなくさらりと背を向ける姿でさえ俺をますます惹きつける要素だというのに。
「・・・また明日・・・いや、月曜か」
さすがに引き止める理由もないからそんな言葉で片手をあげると、ひらりと手を振り返した彼女がカツンカツンと靴音響かせエントランスをくぐるのを見送って。
そのまま外からも見える階段を上り2階の踊り場まで登ると再び俺にひらりと手を振る。
そんな彼女を目で追って、住まいである部屋の扉を開錠し中に入るところまで見守るとフゥッと息を吐いて帰路につこうと身を返した。
しかし、寒いな。
一人になってしまえば寒さから意識を削ぐものもなく、今まで忘れていた寒気に身を痛められ始め。
僅かにも寒さを凌ごうとポケットに手を入れかけてその違和感に気がついた。