だから何ですか?





「あ・・・あ~~・・・・デジカメ」



やってしまった。と頭を抱え顔をしかめながら亜豆のマンションを振り返る。


自分の片手にはしっかりと亜豆のカメラが握られていて、どうしたものかとカメラとマンションを交互に捉えての数秒。


明日会社で渡そうか。


でも、今目の前に本人の家があるのに返しに行かないのは面倒くさがりと言われるものだろうか?


散々そんな自問自答をするも結局足を向けたのは亜豆のマンションの方だ。


サクッと渡して帰ればいいだけの話。


そう結論を出すと足早にエントランスをくぐり抜けて、先程亜豆が上り上げていた階段をひょいひょいと登り上げて部屋の前へ。


へぇ、扉もなかなかオシャレな。


自分の目の前に広がる玄関扉はモザイクウッドのドアに両サイドが半透明なガラス張り。


そのガラスの部分から中の明かりが漏れていて、中に人の気配を感じながらインターフォンのボタンを押した。


表札は出して無いんだな。なんてことを思い、興味深い玄関をキョロキョロと視線を走らせ反応を待っていると。



『はい、どちら様?』


「・・・・・・」



はて、


その言葉・・・そっくり返したらおかしいだろうか?




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