だから何ですか?



さすがにリビングから出れば冬ならではの温度差を感じる廊下。


それでも寒いと言うほどでもなく、むしろコートを着たままの俺は暑いくらいだと思う。


そんな廊下に連れ出されて捉えているのは亜豆の後ろ姿ばかりだ。


それでも新鮮で見慣れない、初めて見たプライベートな姿。


服の上からでも華奢だと思っていた。


それでも服の下はもっと華奢でもっと滑らかで。


今も着ているニットの下は素肌に下着のみだなんて無防備な状態で、首元の大きく開いたデザインは片方の肩を滑らかに魅せつけてきて欲を擽られる。


一瞬、全ての問題を忘れかけてしまっていた短い廊下の時間。


そんな時間の終幕を告げる様に亜豆がガチャリと音を響かせ開いたのは個人の部屋なんだろうか?


半信半疑で入り込めば6畳ほどの部屋にベッドとデスクと小物を置くようなラックとクローゼットと。


女の子らしい、可愛いなんて感想は浮かばないけれどシンプルで整頓された部屋は逆に自分の好みで居心地がいい。


へぇ、と後ろ手に扉を閉めたまま確かめる様に視線を部屋中にぐるりと走らせていれば。



「伊万里さん、」


「えっ、・・・んん___」


「煙草、」



いつの間に咥えて火を着けていたのか。


煙草を咥えたまま発音した音はくぐもっていて、呼ばれて振り返った瞬間に自分の口に挿し込まれたのはまだ火の着かぬ別のモノ。




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