だから何ですか?
突如の事に素直に咥えて、それでも『ちょっと待て』と今までの事の流れに意識が回帰し煙草を外そうと手を添えるも、
「っ___」
「・・・・・」
何だろうか・・・この絶妙な距離間。
もどかしい至近距離で捉える彼女の姿。
咥えている煙草に手を添えて、スッと寄せた俺の煙草に火種を移す。
最初は寄せた煙草の先端を見つめていた伏せ目がちな双眸が、ゆらりと煙が立ち上ったのを確認すると静かに上がって俺のと絡んだ。
「・・・あんまり、見つめないでください」
「・・・はっ?」
「惚れそうです」
「はい?」
「反則です」
「ちょ・・・亜豆?」
「私の事であんな風に戸惑って、焦って、不安になって・・・海音君にまで掴みかかって嫉妬してくれるなんて・・・驚いてしまって」
ポツリポツリ落とされる言葉一つ一つに丁寧に感情を込めて。
徐々にボリュームの下がる音と視線は連動しているんだろうか?
逃げる様に逸れた視線が下に行って緩やかに横に移行して、『驚いてしまって』の時には信じられないと言いたげに無意識であろう感じに口元を覆った袖口から覗く指先。