だから何ですか?
「海音君は9歳まで施設に居たんですけど、学力も体力も数値が高く優秀。聞き分けもいいという事で子供の出来なかった菱塚の前社長夫婦に好まれ引き取られたんです」
「成程」
「施設の中だとやっぱり小さい子から選ばれていく傾向があって、海音君の場合は稀だったんですけどね。私は結局縁がなく施設育ちのまま今に至るような」
「でも、海音とは連絡を取っていたってわけ?」
「引き取られてすぐは連絡途絶えてましたよ。どちらも子供ですしね。また交流を持つようになったのは海音君が高校1年くらいの時でしょうか。菱塚の家は待遇もよく、何不自由もないし夫妻も愛情持って育ててくれたらしいんですけどね。だからこそ応えようと頑張ってたら、」
「疲れて、元の家が、家族が恋しくなった?」
「の、ようです。つまりは息の抜ける関係?纏ってる重たい物を取っ払える・・・まぁ、家族なんです」
「・・・・・」
「まだ、説明必要ですか?不満は解消されました?」
フフッとからかう様に笑って煙草を咥えた亜豆に『この野郎』と勿論冗談半分に目を細めてから苦笑い。
いや、だって、この話を聞く前からすでに不満という感情は亜豆に突き崩されての時間だった。