だから何ですか?




今度はそう長く、絡み付くようなキスじゃない。


歓喜を告げる様にそっと重なり、温もりを分け合う様な数秒を経て余韻を残しつつゆっくりと離れる。


それこそ子供の甘えの延長のようなキスに温められて安堵さえ感じた。



「・・・なんか本題から逸れました」


「あはは、そうか。何が言いたかったんだ?」



キスに満足したらしい亜豆が唇を離すも顔の距離はあまり離さず、至近距離から見つめてくる表情はまだどこか高揚しても感じる。


仕事に戻る筈がなんだかんだ引き止められてこの様だ。


それでも悪くないな。



「つまりは、」


「うん、」


「期待させたんだから責任取ってくださいって事です」


「フッ・・・了解です」


「・・・引き止めてすみません。存分に仕事馬鹿発揮してイキイキとしてきてください」



それまで自らその身を寄せていたというのに、意識の切り替えだと言わんばかりにスッと身を離した亜豆が『いってらっしゃい』という様に軽い力で俺の体をトンと押す。


それに逆らうでもなく、クスリと笑うと片手をあげて今度は意識を引き戻されることもなく社内の中へとその身を戻した。


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