どうしたって期待したい!!




寝込みを襲いたいとかどこの発情期で最低な女なんだ。と自分を咎める善の心はあると言うのに。

欲求に逆らえずにそっと距離を詰めて彼の顔を覗き込んでしまう。

ああ……この顔の距離とか……久しぶり。

初めてまともな会話をした日に水城くんから縮めた距離と同じくらいだ。

相変わらず男の子にしておくのが勿体ない綺麗な肌に長い睫毛。

鼻の筋の通りも綺麗で、寝息を立てる唇の艶やかさにはドキリとしてしまう。

好き……なのになぁ。

こんなに好きで、どうしようもなくドキドキして。

なのに、それを悪戯に告げたらこの人は目の前から消えてしまいそうで……。

「………っ……意地悪」

ポツリと、込み上げたそんな感情を吐露した唇が肌の熱を感知した。

眠っている人間の体温は高いなと唇で触れた頬から実感し、ゆっくり離すとさすがに羞恥心と罪悪感で心臓が強く跳ねあがり始める。

や……やっちまった…。

いや、唇じゃないのよ!

ほっぺにキスとか欧米じゃ挨拶よ!

でも…ここ欧米じゃないし……寝ている人間に挨拶もなにも理由にならないし……。

っ……こんな結局罪悪感抱くんなら口狙いでしときゃ良かった。

しかも……自分で消化不良を煽ってどうするのよ私……。


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