どうしたって期待したい!!




縮めれば苦しいだけの距離を自分で狭めて悶絶してたら世話ないわ。

ほら見た事か、余計に熱を高めたせいで苦しんでいる恋心が更に限界を訴えて体を軋ませる。

隣に居るだけじゃ足りないとか……、綺麗な肌に触れたいとか……。

うっかりその意識に誘われるまま伸びた指先が、ほんの少し彼の頬を掠めた瞬間、

「んっ……」

「っ…!!」

そりゃあ、自分でも驚くほど俊敏に元の位置へと動きを見せた身体。

急いで椅子に座り、机に突っ伏してバクバクと煩い心臓を感じながら狸寝入り。

な、何事もなかったでーす。

寝てまーす。とばかりに息を殺し周りの気配に気を張っていれば、『んー』と背伸びをしたであろう彼が漏らした声と椅子の動く微々たる音と。

「……鈴原、」

「………」

「鈴原、」

「んっ……ん~……あれ?えっ?今……」

「もう19時半過ぎだな」

「っ……えっ!?あれ!?私寝ちゃってた!!?ゴメンっ!!水城くん!!起こしてくれても良かったのに!」

見よ……この名演技。

さも今揺り動かされ起きましたと言う様な気だるげな表情に口調に慌て様。

まさか私にチュウされたとは夢にも思うまい!

ってか私も夢の中の事であった事にしたい!!


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