どうしたって期待したい!!




ちょっとした充電のつもりでの下手な理由をつけた自分の行動。

それでも、そろそろ離れておくべきだろうと体を動かし始めた刹那、引き止める様に耳に吹き込まれた低い声。

いつの間に顔を寄せられていたのか。

自分で詰めた距離だけれど詰め返されるのは予想外だったから思考がフリーズ。

そんな耳に更に吹き込まれるのは、

「………無防備、」

「っ……え…」

「……無防備に放置してたら紐解いて剥いて食っちゃうよ?」

「っ……!!!?」

「………ご馳走様、」

カサリと手に握らされたのは私が今日用意したお菓子の空袋だ。

今日は洋酒入りのチョコレートケーキ。

それが空っぽで返されたという事は水城くんが食べたに違いないのだけども。

ちょっ……えっ……でも……。

い、今のはお菓子に対しての忠告だったの!?

それとも絶妙な雰囲気さながらに妖しい意味の忠告だったの?!

どっち!?と慌てて身を離してみてもすでに捉えられるのはいつも通りの彼の無表情だ。

寧ろ、『んっ?』と何事もなかったかのように私を見つめ返してくるのだから性質が悪いんだかどうなんだか……。

わ、分からない。

水城くんの事だし本当にお菓子の事だったってオチのが強だけども、それでもあの距離間で耳に吹き込む必要はない気もするじゃない!?



< 24 / 151 >

この作品をシェア

pagetop