どうしたって期待したい!!
もう……いいんじゃない?
好きだと言ったら……受け止めてくれるんじゃない?
そう思うのは私の都合良しの己惚れか、思い込みか。
それでも……水城くんは私が近づくことを拒まない。
隣に座ってお茶を飲んでお菓子を食べて、する会話は他愛なくともその時間を設けてくれる。
「鈴原、」
そう呼ばれる度に彼の中の自分を肯定されているようで。
「帰ろっか」
と、必ず帰路は送ってくれる優しさに冬の寒ささえ忘れる。
期待してしまう。
手を繋ぐことはない。
それでも確実に自分のアパート前まで送って、家の中に姿が消えるまで見守っていてくれる。
これって殆ど恋人じゃない?
そんな風に部屋の中で悶えて沸いて。
明日までの待ち遠しいさを原料に彼の為のお菓子を焼くのだ。
相も変わらず女の子に言い寄られる彼。
それでも私を選んで隣に居てくれる。
そんな関係が特別であると信じて浮れているのは私だけ?
私だけが……思い込んでいた?