どうしたって期待したい!!





「えっ……」

「だから……水城くんに親しくするのやめてくれませんか?」


ああ、こういう展開は良く見た事がある。

少女漫画やドラマの中で。

そんな事を客観的に捉えたくてもそれをさせてくれない目の前の可憐な美少女の眼差し。

見覚えはある。

いつだったか水城くんにお菓子を渡して返されていた女の子だ。

そうか、あれからもずっと彼を追いかけ言い寄っていたのかと、理解は追い付けど言われた言葉には整理がつかない。

だって……


「……えっ?」

「はぁ…そうやってとぼけられても困るんです。今、私と彼凄く良い感じの距離なんです。来週のクリスマスにはデートの約束してるし、一番邪魔されたくない時なんですよ」

「そ……そんなわけ……あり得ない……」

「あり得ないって……まあ、信じられないんだったら彼の口から聞いたらどうですか?私は嘘なんてついてませんから。それを確認して事実だって分かったら彼に近づくのやめてください」

「っ………」

ぴしゃりと言いきられた言葉に一瞬自分の電源の様なモノを引っこ抜かれた気がする。

プスンと音を立てて思考も動作も停止して、再起動したときにはふらりふらりと歩き出し、思考がままなった時にはおぼつかない足取りで走り抜けている中だった。

夕刻には時間のある日中。

学内のどこかに居ないかと走り廻って探すのは当然の事ながら水城くんだ。

だって……だって、嘘だ!

水城くんが他の人を受け入れたとか、デートするとか。





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