どうしたって期待したい!!




「っ……水城くん!」

「………鈴原?」

ああ、学内で……日中の学内でこんな風に彼に声をかけるのは初めてに近いだろうか?

なんとなく彼との時間は夕刻のあの時間を特別としておきたくて、彼もまた特別日中に私を求めて声をかけることはなかった。

冷静に考えれば……彼との時間はあの時間だけなのだ。

それを馬鹿みたいに特別で、彼を独占出来ていると信じていたなんて…。

そんな事実に更に追い詰められた表情はどんな物だったのか。

普段は表情を崩さない彼がさすがに双眸を見開きこちらに歩み寄ってどうしたのかと疑問の眼差しを向けてくる。

いつもの……彼なのに。

なんでかな……目を合わせるのが恐い。

目を見て話すのが恐い。

彼の声の響きが……恐い。

「鈴原?」

「クリスマス……」

「えっ?」

「クリスマス………女の子とデート……だって?」

「……ああ、なんだ。……耳が早いな」

「っ…………」

やっぱり……本当なんだ。

さらりと何食わぬ感じに肯定された言葉の響きは残酷だ。

なんだ、その事か。と言わんばかりに息を吐いて、驚いて損したと感じる気の抜け方には思わず俯いて歯を噛みしめてしまった。




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