どうしたって期待したい!!
そんな私に何か言わんと彼の唇が動きかけたけれど、
「水城くんはつまらなくなかった!」
「……」
「コレも結局私の勝手な期待で勝手な被害妄想だからっ、」
「鈴…」
「勝手に期待して…勝手に落ちてごめんね!?でも、もうやめる。もう期待しないっ…」
だって…悔しいかな水城くんは最初から言っていた。
期待するなって。
そんな忠告を忘れて近づく距離感に沸いて忘れて高望みして。
そうだ。
本当に…私にキレられる理由は水城くんにない。
私が勝手に盛り上がって期待して突きつけられた事実に落胆して逆キレしただけ。
私は…友人にはなれても恋愛としては選ばれなかった。
ただそれだけだ。
ただ…それだけだけども。
だったら最初からあの距離のまま……
「っ〜〜〜」
「っ……」
ポロポロと、未消化であった恋心が生温い液体となって目から溢れて頬を伝っていく。
とめどなく、溜めに溜め込んでいた感情を全て吐き出さんとする様に流れる涙は大粒だ。
悔しいのは……こんなに好きであったのに彼に証明出来る事なく終わってしまう事。
好きな理由。
好きなものは好きなのだ。
理屈なしに好き。
悔しいよ……『あの距離のままが良かった』なんて言えないくらいに好きだって感情が大きくなってたなんて。