どうしたって期待したい!!




見ていても分かった彼女の限界。

公開処刑さながらの正論に言葉では太刀打ちできなくなった彼女が次に出る行動など誰しもが想像出来ていただろう。

水城くんも。

だから……よけられた筈よね?

なのに……殴られてもあげちゃうんだ。

それでも、彼の表情はいつだって分かりやすく感情に揺れ動いたりはしないのだ。

叩かれた頬を気にするでもなく、何事もなかったかのように彼女を見つめ一言、

「俺はキミの事を好きじゃない。最初から最後まで……期待すら抱かなかったくらいに」

ストンと落とされたのはまるで何かの診断報告の様に事務的な響きであった。

傍から見れば正論をぶちかましていても水城くんの方が悪役だろうか?

クリスマスの夜にプライドを壊され恥をかかされている彼女の方が確実に周囲の同情を引いている気がする。

本当……水城くんは徹底しているね。

期待を持つなと最初から宣告して、終わる時でさえ無意味な甘さで期待を持たせない。

自分が嫌な役を引き受けて幕を引く。

優しいじゃない。

そう思えたのは……客観的に捉えたからなんだろうか?

でも、きっと、今の当事者の彼女には水城くん以上の悪役はいないんだ。

だから……自分を擁護するためならどんな毒でも吐いてしまう。



< 37 / 151 >

この作品をシェア

pagetop