愛してるからこそ手放す恋もある

翌日から点滴による抗がん剤治療が始まった。
点滴には吐き気止めも入ってるそうだが、全く効いてくれなくて私は嘔吐を繰り返していた。

「梨華大丈夫?」

朝から母が付き添いずっと背中を擦ってくれていた。
母の問いかけに返事すら出来ず、ただただ嘔吐を繰り返していた。

「梨華、少しでも口にしないと…」

抗癌剤を初めてから、何も口に出来なくなっていた。日に日に衰える私を心配して兄がスープを作って母に持たせてくれてるが、匂いだけでも吐いてしまい、水を口にするだけが精一杯だった。

抗癌剤治療が終わると体は少し楽になってきた。
だが、体が楽になったのと引き換えに髪が抜け始めていった。

そして、今朝シャワーを浴びたとき、頭を洗っていると指に沢山の髪が絡みついた。こんなにも早く髪が抜けてしまう。知っていたとはいえあまりのショックで涙が止まらない。

髪は女の命と言うひともいる。
子宮や卵巣も無くした私は何なのだろう…

誠に会いたい…

最近仕事が忙しいようで、誠は顔を見せてくれていない。

誠…
お願い会いに来て…

私はシャワー室で泣き崩れていた。




< 14 / 133 >

この作品をシェア

pagetop