愛してるからこそ手放す恋もある

抗癌剤は髪の毛だけじゃなく、体の全ての毛と言う毛が抜けてしまう。勿論、眉毛もそのうちのひとつだ。眉毛の無くなった顔はなんとも情けない顔で、他人(ひと)には会いたくない。
母が用意してくれた抗癌剤治療の人の為に作られた帽子をかぶり、少しでも人らしく居たいと眉を描く事にした。

「ねぇお母さん、これでちょっとはましになった?」

「そんなに気にしなくても…ここは病院だから、他にも同じ病気の人も居るだろうし…」

「だって誠が来たときに少しでも良く見られたいもん!」

母とそんな話をしていると、ノックとともにドアが開いた。

!?
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