愛してるからこそ手放す恋もある
その時小野田さんを診察してくれていた先生が処置室から出てきた。
「通常なら事件性を考えて警察へ連絡するところですが、本人も監禁の事実はないと仰有ってますし、身体にも暴行の痕もありませんでしたので、警察へ連絡はしませんが、脱水と、肝機能の数値が良くありませんから、暫く入院して貰って様子を見ましょう」
監禁…
暴行…
「あの馬鹿どんだけ私達に迷惑掛けるのよ!?」
医師は今のご時世、成人男性の肥満体型は見るが、栄養失調で、痩せ細ってる人は始めてだと言う。
確かにそうだろう。
その為に犯罪絡みだと思ったと言う。
病室に案内されると点滴の繋がった小野田さんがベットに横になっていた。
良かった…
さっきより少し顔色も良くなってるみたい。
「馬鹿浩司、起きろ!」と、小野田さんの頭を叩く由美さん。
嘘っ!?
いくら腹をたててるとはいえ、病人にそれはない。
「由美ちゃん…」
菱野部長も慌てて由美さんを止めるが、由美さんは止まらない。
「タヌキは止めろ!止めないと、由美様のエルボー・ドロップ落とすぞ!?」
エルボードロップって?
プロレス?
由美さんはベットに近づき腕を上げた。
嘘…
ヤらないよね…
その時小野田さんの目がパチリと開いた。