大好きな彼は超能天気ボーイ
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帳 梨乃side

「ねえ、功くん大丈夫だった?」


休憩の時間、廊下にいた早苗は心配したような顔を向ける。


「早苗…」

「えっ、どしたの?泣いてる?」

「私…功に振られるかも。」


「はあ!?なんで?」

「林先輩っているでしょ?あの綺麗な。
その先輩と…キスしようとしてた。」

「キ、キス!?ど、どこで?」


「保健室で。一旦私部屋抜けたの。そしたら、林先輩がいて…」


「…梨乃っ。」

早苗が私に抱きつく。そして、


「大丈夫…私がついてる!辛かったね。」

なんて言って励ましてくれる。


「ううっ…早苗ぇ〜!」

思わず涙が溢れて、先生たちにも気を使わせてしまった。

授業が始まり教室に戻っても、功の姿も、カバンすらも見当たらなかった。


あ、早退しちゃったのか。


確かにえらそうだったもんな。
大丈夫なの?一人で帰れる?

そう思ったら、もうどうしたらいいのか分かんなくなっちゃって。

あんなもの見たのに、まだ功のこと好きで、
心配しちゃって…

どんだけ…私はバカなの?

功と一緒に帰れない事に、がっかりしてるし…

いつから功は、私の心に住み着いたの?

複雑な心を表すように、重く淀んだため息が漏れた。


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