オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
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<side 花美>

放り込まれたままの格好で、私は後部座席のシートに横たわってた。

走りだしても、相変わらず、どうしようもなく静かな車内。

流れる沈黙は、どのくらい続いたんだろう。


佐々くんは、シートに両手をついて、覆いかぶさるように私の真上にいる。

そのくせ、こっちを見もしない。

表情もわからない。

ただ、深く俯いたまま、黙ってる……

私からは佐々くんの、そのピクリとも揺れない上半身を、

ただ、呆然と見上げてた。

ふいに……


「…どこ、さわられたんだよ」


怒鳴り声を、無理やり押し殺したような、響きが聞こえた。


「…ぇ?」

「どこだっ、言え」


低いうなり声に、背筋が凍る。

佐々くんの影が、

ゆらり……

動いて、私の顔に落ちる。

目の前に広がる影は、オトコ達に囲まれたときの薄暗さに似てた。


ザワッ…

――や……


さっきの出来事が、頭に浮かぶ。

触られた感覚が、鮮明によみがえってくる。

無意識に、左胸をかばおうと手を伸ばそうとして……


――動か…ない…?


佐々くんの手が、私の右手の指を一本一本、絡めるように握ってる。

シートに押さえつけられた、“恋人つなぎ”が、ほどけない。


「さ…さ……くん」


勝手に全身が小刻みに震え始めた。


だって……

どんなに抵抗しても、びくともしなかったの。

大声を出そうとしたんだけど、口をふさがれちゃって、息もろくにできなくて、

イヤなのに、

本当にイヤだったのに、どうにもならなくて

こわくって……

今だって…

思い出しただけで、震えが止まらない。

カラダが、どんどん言うことをきかなくなっていく。


「ごめ…なさ…ぃ」

「オレが…怖い?」


――え……


顔を上げた佐々くんの表情に、一瞬息を飲んだ。


だって、その表情は、

すごく辛そうで、

苦しそうで…


どおして?

なんで佐々くんが、そんな悲しそうな顔するの?
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