オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
「そうそう、未成年はいいかげん帰ってくんねぇかなあ~?もう日が変わってんだけど。俺は営業停止なんてゴメンだぞ~」


ここ、“guns and roses(ガンズ・アンド・ローゼス)”のオーナーだ。

あご髭にターバンがトレードマークの35歳。

面倒見もいいし、懐も深い。


「司さん、今回は助かりました。本当にスミマセン」


席を立って、頭を下げる。

こんな世界だ。

それなりにルールや礼儀ってものがある。

“ウサギ狩り”

は、他のチームや族の縄張りも荒らすことがあるから、仕掛ける前にはハナシを通すことになっている。

花美ちゃんの件で、手順を踏まずに佐々が勝手に動いたことでは、司さんにもかなり迷惑をかけた。


「まあ、いいさ。おい伊都!そのコ、見つかったら店連れて来な。サービスしてやっから」

「……」

「そう、あからさまに嫌そうな顔すんなって、いいね~、俺にもそんな女神サマ現われないかねぇ~……」


久しぶりに佐々が来たもんだから、司さん嬉しそうだ。

弟みたいに可愛がってたからな。

でも……


「司さん、奥さんいませんでしたっけ?」

「店では独身って事になってんだよ。バラすんじゃねえぞ、成久」


あははっ、すごんだ顔が、超怖い。

流石だね。

この店では、一切の揉め事は禁止ってことになっている。

これは、司さんが決めたんじゃなくて、出入りしてる幹部同士がお互い結んだ協定みたいなものだ。

いろんなヤバイ連中がいて、長年ソレが徹底されているんだから、

司さんの人望が厚いのか、それとも間逆なのか……?

でも、とにかく今回は司さんの顔の広さに助けられた。

まったく……

礼ぐらい言え!佐々!!……ってな顔で、ねめつけると、


「……ッチ…、わかったよ……」


そう言って、佐々は司さんに軽く頭を下げた。

そして、自分の表情を見られないようにだろう。

頬杖をついて、さっさと壁側を向く。


「カワイイったらないねぇ」


司さんの意見に、俺も賛成。


――こおいうところが、憎めないんだよな~……
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