オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
<side 花美>


「……籐堂さん…」


ゴクリと生唾を飲み込む。

ユリさんには、日中は誰が来ても出ないように言われてたんだけど、ハーレーのエンジン音が聞こえた以上、ドアを開けないわけにはいかないよね?

だって、私、籐堂さんに言わなきゃいけないことが、

あるっ!!

玄関先で、しばしにらみ合い。

…というか、一方的に睨まれてる。


「……」

「……」


脂汗が、ジワリと滲む。

うわぁああん……!!

なんで、この人こんなに迫力あんのぉ!?


――うぅ……でも、負けるもんかっ!


昨日、籐堂さんを追い出したあとの、ユリさんの寂しそうな顔が目に浮かぶ。


「…い、今、出てこうとしてたんです!……出て行きます!……だ、だから、あのっ…」


――がんばれ!あたしっ!!


「ユリさんとちゃんと仲直りしてくださいぃっ!!さよならっ!!」


よしっ!

言ったっ!!

言ったよっ!!私!!

バックを握って、外に出る。


――あ、あれ?


前に全然進まない。

無言でグイグイ……籐堂さんに押されて、家を出るどころか、居間まで戻ってきちゃった。


「え?あ、あの?…あの!…出ていくんですけど!!」

「……」

「ホントに、ほら!荷物も用意してあって、と……籐堂さんっ!?」

「うるせぇええ!!いぃ~から、中入れぇえっ!!今、あんたが出てったら俺のせいになるだろがっ!!」

「っ!!!!ふぁ、はいぃいっ!!」


――青筋立ってる……


りょ…、

了解しまシタ……

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