オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
籐堂さんは、さっきまでと同様、片膝をついて座ったままだ。

左手で私の両手を押さえつけ、あいた右手で頬杖をついている。
体重なんか、かかっちゃいない。

本当に左手一本だけで抑え込まれてる。

大きな手……

圧倒的な力の差。

藤堂さんが軽く背筋を伸ばして、私の様子を覗き込むと、顔にかかった影が、さらに凄みを増す。


――怖……ぃ……


「言ったろ?あんたを助ける義理はねんだ。でも、俺の女になるんだったら話は別だ」


籐堂さんの指が、私の胸に触れる直前で止まる。

なにもされない……のに、

その部分が、ジンジンと、うずく。


「大切にするぜ?」

「……あ」


その視線に、犯されてるみたいだ。


「……ぁあ、ヤ…ヤダ…」


震える唇から漏れた声が、妙に甘くて、自分ですら驚く。

かぁああああっ…

恥ずかしさに、一気に顔が赤く染まった。

その反応を楽しむかのように、藤堂さんが不敵に笑う。

このオスから目が放せない。

そう、オス。

獣だ。

そう悟った瞬間、目の前にいたはずの藤堂さんの姿を見失う。

…と同時に、両手に重みが増した。

耳元にかかる藤堂さんの吐息に、その距離の近さを感じて、理性が飛びそうになる。


「……!!っヤ、!!」

――ゾクゾクする……


私の中の“何か”が揺り起こされる。

一気に理性を追い込むような、ささやき。


「俺のモノになったら、めちゃくちゃ愛して、甘やかして、他のヤツになんかに指一本だって触れさせねぇ」

「……ん、ぅ」


囁かれた言葉に、自分のカラダのメスの部分が、敏感に反応しはじめて、

自分が、オンナなんだって、

オトコに抱かれる存在なんだって、否応なしに思い知らされる。

圧倒的な、雄性に、流される……


「……や…っ……」


――イヤだ。助けて……さ……、


「……っ」


無意識に呟きそうになった、その名前に、どうしようもないほど胸が焦がれた。

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