オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
頭の真上から、降りそそぐシャワー。

ユリさんは制服のまんま、私の髪を洗ってくれてる。


「……でね?とにかく殴りたくなっちゃって……」


私はそう言いかけて、目だけじゃなくて口も閉じた。

だって、シャンプーが垂れてくるんだもん。

――うう、苦い……


でも、このままじゃ話が終わんないので、何とかこらえて口を開く。


「殴っちゃいました。籐堂さんの後頭部を思いっきり。ちょうど荷物をまとめてたバックがそばにあったし……ごめんなさい」


ユリさんは無言で、私の絡まっちゃった髪をほどいてる。

バスタブにお湯を張る音がうるさいけど、ちゃんと聞こえてるかな?

返事はないけど、続けてみた。


「私も一応オンナなので、“なんか、ゆるせん!”って、思ってしまって…」

「……(ほどき、ほどき)」

「だけど、藤堂さんってば全然ダメージなんかないんだもん。直後は、超~怖い顔で睨まれたんだけど、すぐに完全無視で部屋は出ちゃうし、さっさとハーレーにまたがっちゃうもんだから……」


ユリさんの手は止まらない。

ただ……

あの、なんか……

だんだん、荒っぽくなってないデスか?


「……」

ザー…ザー…

「……」


沈黙を埋めるように、シャワーの音だけが響く。


ザー…

「何したの?白状なさい」

「え…、えっと…、と、藤堂さんが…その…、エンジンかけようとしたところで、バイクからキー引き抜いて投げ捨てました」


ぐい~っ!


「いいっ痛い!いたたたっ!!ユリさん、髪、引っ張ってる、いったあ~い!!」


叫んだところを、頭の真上からシャワー!

しかも、水!


「きゃぁああ~っ!!ごめんなさぁああいっっ!!」

「バカ花美!!そんなコト、私だって怖くて出来ないよっ!!」

「だって、どおしても帰らせたくなかったんだもんっ!!!!」

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