オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
「あの、いつも余裕かましてるコワモテの籐堂がね、時々、甘えん坊の子どもみたいに見えるのよ」

「…あはっ、それは、スゴイですネ……」


私には無理だ。

きっとユリさん以外、ほかの誰でも無理だろう。


――でも……


狭い車内で、

『絶対に助けてなんかやらねぇ……』

そう、言ったときの佐々くんを思い出す。


「ソレは、わからなくも、ない…かなあ?」


佐々くんのこと、カワイイって思った。

気づいたら、キスしてた。


「Hの時もね、もっと、もっとっ……て、私を抱くの。普段は手もつないでくれないクセに……だから嬉しくて、私も、もっと、もっと……って、籐堂を抱きしめるの」

「……抱きしめるだけじゃダメ?」

「ダメじゃないけど……う~ん」


ユリさんは私の体に巻きつけてる腕をゆるめ、顔を覗き込んで言った。


「好きな人のそばに、もっと寄り添える方法があるのに、使わない手はないんじゃない?」

「……」


いつものオトナっぽい表情とは違う、いたずらっ子みたいな無邪気な笑顔。

つられて私も笑うけど……


「でも、怖い……なぁ」


振り絞るような声だった。

そしたら、ユリさんは何も言わずに、もう一度、


ギュッ……


っと、私を抱きしめた。

カラダが震え始めたのを、気づかれたのかもしんない。

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