オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

無理やり、佐々くんのほうを向かされる。

それなのに、深く、うなだれるように俯いた、佐々くんの顔は見えない。

でも……


「オレにしろよっ、花美っ……オレにしとけっ!!」

「……」

「絶対にひとりになんかしないからっ……!!」


怒鳴られてるのに、全然怖くなんかなくて……

まるで、やさしくなだめられてるみたい…



「抱きしめて……、離さないっ…ずっと……」


ずっと……



「……オレがっ、ずっと、……そばにいてやるからっ……!!」



それは、誰かに言って欲しかった言葉。

だれも、してくれなかった約束。


こんなに大好きになった人に、

言ってもらえるなんて思ってもみなかった。


――ああ、もうダメだ……



「これが最後だ!言えっ!!お前の本当の気持ちをっ…!」



決して嘘は赦さないと、真っ直ぐ訴えるその慧眼に、

そして、

なによりも、もう、

自分を偽ることを、私自身が許してくれない……



「言えっ!!…花美っ!!」



――…き……



「…佐々くんが…、好き……」



一瞬のようで、永遠だろう、この告白に、

息を飲む音が、かすかに聞こえて…

佐々くんが、…笑った。



「……やった…、やっと、捕まえた…」


――花美…



息が詰まるくらい強く、佐々くんが私を抱きしめる。


自分の気持ちにウソつくたびに、

作り笑いをするたびに、バラバラになっていったココロとカラダが、

佐々くんの腕の中で一つになっていく……



「……佐々くん」

「……花美……力抜け」



私は、言うことを聞かない腕をなんとか伸ばし、

欲情にぐちゃぐちゃになりながら、

目の前の彼にしがみつく。



ぎゅぅう……



――佐々くん……



加速する劣情の赴くままに、

カラダが重なる。
< 201 / 229 >

この作品をシェア

pagetop