オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

今、花美を帰すわけにはいかない。

剣菱優香の言う“お祖母様”なら、

剣菱の現当主、“剣菱麗華(ケンビシ レイカ)”のことだろう。

花美にとっても、実の祖母。

ジジイが言ってた。


『剣菱の姫に縁談話があがっとる』


このタイミングでの入院騒ぎ。

嫌な予感しかしねぇ。


ゆっくり唇を離すと、名残惜しそうに透明の糸が引いて、切れた。


「オレの母親だよ、さっきの電話」

「……?」

「花美のこと、今度はいつ遊びに来るんだってうるっせぇーの」

「……佐々くんの、お母…サマ?」


オレの腕の中に納まった花美が、少しだけホッとしたようにオレを見る。


――ウソだけど……


まあ、母さんが花美に会いたがってるのは本当だし、花美が不安になるよりマシだ。

でも……


「はぁ~…、信用ねぇなぁ…オレ」

「…そんなんじゃ…なくて…」


花美が慌てて首を振る。


「まあ、出会いからして最悪だったし、仕方ねぇとは、思うけどさ…」

「佐々くん…」

「ただ、そろそろ信じてもらわないと、困る。もう、花美だけだってこと……」


抱きしめながら首筋にキスを落とすと、花美がくすぐったそうに肩をすくめる。


「ん…ぅ…」


甘い声の後に残った、花美の首筋についたキスマーク。

それを確認して、もう一度そこに口づける。


――オレのもんだ……


「……花美…、もし、さ」


さっき、言いかけた言葉を、耳元で囁いた。


「これから先、お前のことで何があっても、オレはお前を手離さない。絶対に…だ」

「……?」

「だから、花美…、オレを好きでいろ…キライになるなよ?」


花美が顔を上げ、不思議そうにオレを見つめる。

オレの姿が映り込んだ大きな瞳。


「…キライに…なんか…、ならない…よ…?」


恥ずかしさに頬を染めながら、それでも、うれしそうに花美が笑う。


そうじゃない。


――イミ……、わかってねぇよ…花美…


オレは苦笑う。


もう、お前の意思なんか関係ないんだ。

もし、お前がオレの事を嫌いになっても、

オレは絶対にお前を手離せない…

泣こうが、叫ぼうが…、閉じ込めて、オレの事しか考えられないように……

毎日、毎日、抱き潰す…


――逃げるなよ……


切実に、そう願う。

オレがお前を、愛しさのあまり握りつぶしてしまわないように……
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