オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

大きな窓から光が降りそそぐ、ヨーロピアン調に整えられた優雅なロビー。

エレベーターホールの端っこから、こっそりのぞいてみると、

ラウンジ横にある螺旋階段のすぐそばに、佐々くんのお母サマが立ってる。

今日は着物じゃなくて、白ニットに黒のスキニ―ジーンズのカジュアルな装い。

何度見てもキレイな方だなぁ、さすが佐々くんのお母サマ。

女子大生にしか見えない。


でも、これって……

これって、どおなのっ!?

一夜…どころか数夜、一緒に居たオトコの人の母親に、

よりによって朝っ、ホテルロビーで会わなきゃなんて!!

何、してたか、なんて……バレバレじゃん!


かぁあああああっ……


自分で思い出して、顔が赤くなる。


やだ、どおしよう…

本当に、やだぁ!!

チラリ…

ロビー奥の玄関に視線を向ける……と、


ガシッ!!


「…え、な、なぁに?」


突然、佐々くんが私の腕をつかんだ。

そして、そのまま、私を強引に引き連れながら、お母サマのトコロに向かっていく。


「…ちょ、え?…ちょっと、待っ…まって!まってぇえ…!」

「今さら逃げようとしてんじゃねぇよ」

「ホントに、待って…お願い」

「ダメ」

「やだやだ、やだあっ!」


なんとか逃れようと、もがくけど、何ともならない。

腕を取られているだけなのに、全く自由がきかない。

祈るように、佐々くんを見上げると…


――なんでそんなに楽しそうなの!?


絶望的な状況に、涙までにじみ始める…と、

数歩手前までに近づいたところで、佐々くんのお母サマと、目が合った。


かぁあああああっ!!


一気に顔が熱くなる。


「きゃぁあああっ~!!久しぶり!花美ちゃん!!もう、伊都ったら全然花美ちゃんにあわせてくれないんだもん!あはっ!押しかけちゃったあ!!」

「“押しかけちゃった”じゃねぇよっ!ちょっとは遠慮しろっ!何時だと思ってんだよ!」


今が朝の7時だとか、昼だとか、ソコじゃないんですケド!!

緊張で頭がクラクラしてきた。

やだっ!もうっ!!


――いたたまれないっ!!!!


さっきまでは、逃れようと必死になってたくせに、私ってば超いいかげん。

今度は何とかお母サマの視線から逃れようと、無意識に佐々くんの腕にしがみついた。


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