オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
「まあ、ちょっと、お互い落ち着こうぜ…、花美、引いてんじゃん」
「そこにタクシー待たせてあるから、行きましょ!じゃあね、伊都!花美ちゃん預かるわ!終わったらメールする」
「はあっ!?オレも一緒に行くって!勝手になに言って…って、おい!」
お母サマの勢いは止まらない。
話も途中に、私を佐々くんから引っぺがすと、あっという間にロータリーまで連れて行った。
バンッ!!
タクシーの中に引きずり込まれて、ドアが閉まる。
――え、ぇええええっ!?…佐々くん、一緒じゃないのぉお!?
「…っ、さ…ささくん!佐々くん…!!」
「……花美…」
「ささくんっ!!」
やだやだ!うゎあああんっ!!
こんな状況でひとりにしないでよお!
急に心細くなる。
なのに、なんで?
「…佐々くん……?」
ドクン……
一瞬で目を奪われた。
陽だまりの中、佐々くんが微笑んでる。
ヒトがこんなに困ってるのに……
ものすっごく、困ってるのに!!
なんで、佐々くんってば、そんなにうれしそうに笑ってるのおっ!?
コンコン…
佐々くんが、タクシーの窓ガラスをノックする。
下がるウインドウ。
さっきまでそばにあった、佐々くんにコロンの匂いが私を包んだかと思うと、
髪を撫でながら、軽く抱き寄せられた。
「母さん、こいつオレの嫁になるんだから、頼むから大事にしてやって」
――よ…っ…
「嫁えっ!?」
「…じゃあな、花美、せいぜい貢いでもらえよ」
「ちょ…ちょちょ、ま、待って、…佐々くんっ!!」
佐々くんは運転手さんに“行っていい”とゼスチャーすると、
さっさとホテルじゃない方向へ歩いて行っちゃった。
その後ろ姿だけでも、やたらと佐々くんの機嫌がいいのがわかる。
グラリ…
発進するタクシーのGを受けて、カラダが揺れる。
そして、背後に近づく、なんともいえない微妙な気配に、私は慌てて振り返った。
「……違いますよっ!!」
「……嫁」
「違いますってばっ!!」
「花美ちゃん、嫁に来てくれるの!?うそ!本当に!?きゃあああ~~っ!!でかした!!伊都おっ!!」
タックルに近い勢いで抱き着かれた瞬間、後部座席にひっくりかえった。
私の上に馬乗りになったお母サマは、運転手に向かって大声で叫んでる。
「ドレス!!ウエディングドレス買に行かなきゃ!!…行き先変更!!」
人のハナシなんか…、まるで聞いちゃいないっ!
こおいうトコロ、佐々くんそっくりっ!!
「ホントの本当に、違うんですってばぁああああっ~~っ!!」