オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
なにがどおなってるのか、よくわからないケド、
2人がパパとママの知り合いだってことを、ハナシの流れから無理やり理解した。
「まあ…そうだなぁ、返す前に逝っちまったからな……」
司さんは私を気遣うように見つめると、何かを思い出すように、瞳を閉じる。
「“剣菱”がさあ、このコを横取りしようとしてて、迷惑してんのよ……」
――…え?
反射的にカラダが強張る。
お母サマは真っ直ぐと司さんを見据えたまま、私を抱きしめる手を決して緩めない。
知ってる……
知ってるんだ、お母サマ。
私が“剣菱”だって……
「まあ、伊都が守るだろうけど…、司もさ、新(アラタ)に借りを返すいいチャンスなんじゃないかと思って」
「…そりゃ、ご親切にどうも」
「“剣菱”が相手だからね、信用できる協力者はできるだけ多いほうがいい」
「なるほど…」
そう、ポツリ…と、つぶやいて、
司さんは再び目を開いた。
目の前にあるものではない、何かを見つめながら、司さんはゆっくりとその視線を天井に向け、一点を睨み付ける。
「……アラタ」
パパのことを、そう呼ぶ人を、私はママしか知らない。
だから、驚いた。
私が“剣菱”だってことを、知られていたという事実より、
それよりも、今、目の前にいるこの2人の存在に目を見張る。
初めて会った、
昔の、パパとママを知っている人……
「そうだなぁ、ここらでひとつ、おじさんもがんばってみるか…」
司さんは、そうつぶやくと、
ニカッ…っと、人懐っこい笑顔を私に向けた。
「花美ちゃん!腹へってねぇか?何か作ってやるよ。どおせ、メシ食いに来たんだろう?なあ!ディアナ!」
「その、“ディアナ”っての、やめろって言ってるでしょ…、まったく、どいつもこいつも、いつのハナシしてるんだか…」
「花美チャン、気を付けな?このおばさん、超怖ぇえから。昔はここら辺の族の連中で知らない奴はいなくって…」
「司っ!!」
「マジきれいだったぞ?あんたの母さん…、アサヒさんとディアナが並んで立つとなあ、その姿を拝みに、その日の族は走るルートが変わるんだよ」
ココロの奥から、何かが込み上げる。
佐々くんに、抱きしめられたトキにも感じた、
何重にも鍵をかけて、封印していた感情が決壊する感覚……
「…ママは暴走族だったの?」
「正確には違うなぁ、それはディアナの方だ。アサヒさんはお姫サマだよ。族のシンボルとかマスコット的な……」
司さんの、言葉が詰まる。
「じゃあパパは?パパは暴走族の人だったの?そこで、ママと出会ったのかなぁ?」
お母サマも司さんも、驚いたように私を見つめてるけど、もう止まらなかった。
涙が頬を伝う。
涙も、言葉も…溢れだす。