オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

贅沢ほどの時間を使って、そのあとも、いろんな思い出を聞いた。


出会ったころのパパとママ。

恋人同士のパパとママ…

私の知らないパパとママ……


でも、お話の中に出てきたのは、やっぱり私が知ってるパパとママだった。


整理しきれなかった感情が、

お母サマと司さんの記憶と一緒に、ようやく思い出になっていく。

ココロの中に、すとん…と、落ちていく。


どんなに目を凝らしても、

もう二度と、両親の姿をこの目に映すことは叶わない…

今、目の前に見えるのは、故人を懐かしむお母サマと司さんの姿で、

“パパとママがいない”という現実だ。


――もういない…

――本当に、もう、どこにもいないんだ…


そう、本心から思えて、初めて、

パパとママが存在していた欠片を、

その残像を、

血を流しながら、必死に探さなくてもいいんだって気付いた。


――私が一番好きだったパパとママの姿は、もう、私のココロの中にしかない……


「…お家、片づけなくちゃ…、あの日のままだし……」


無意識に呟いた言葉に自分自身で驚きながら、でも、不思議なくらいココロが凪いだ。

私は、ゆっくり瞳を閉じる。

優しく微笑むパパとママの姿が見える。
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