オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

パパ、ママ……

あのね…、

私、スキな人ができたんだよ?


昔、約束したよね?

スキな人ができたら、ちゃんと報告するって…


パパとママに話しかけてみる。

聞こえているのか、いないのか、

2人は寄り添ったまま、変わらない姿で立ってる。


佐々くんっていうの。

“私を絶対に私をひとりにしない”って、

そう、言ってくれたんだよ?


スゴイでしょ?

私、うれしかった……

うれしくて泣いちゃった。

でもね、同時にとても怖くなったの。


パパを守りたくて嫌いなフリしてた、ママの気持ちがよくわかる……

佐々くんに傷ついて欲しくない。

でも、どうしたらいいのかわからないの。


だって、“剣菱”は“剣菱”の利がすべて。

そのためなら何だってするのを、


――私は、誰よりも、よく、知ってる……


パパとママは答えない。


ねえ、どうしよう…

どうしたらいいと思う?


そのとき、


――花美は、どうしたいの?


不意に、懐かしいママの声が聞こえた気がした。


「……え?」


いつの間にか俯いてしまっていた顔を上げると、

パパが不満げに、でも、しっかりしろと私を見てくれてる。


パパ…、私…、

ママ…、私はっ……


「……て…たいのっ…」


泣きそうになるのを必死に堪えながら、喉の奥からその言葉を絞り出した。

上手く声にはならなかったけど、私はちゃんとわかってる。


自分がどうしたいのか。

どうすべきか…


――じゃあ、やってみな…


パパの声に背を押されながら、私は再び目を開く。

目の前に広がった世界は、今までと同じようで、でも、もう私を悲しみに縛り付ける、その力を失っていた。


「花美ちゃんっ!」


お母サマと司さんが、私のコトを心配そうに見つめてる。

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