オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
<side 佐々>

母さんに連行されていく花美の姿を思い出して、思わず顔が緩んだ。


『ささくん…、佐々くん!』


今にも泣き出しそうな顔で、何度もオレの名前を呼ぶ。

オレにすがる花美……


――めちゃくちゃ可愛かったな……


花美は、さみしがりで、甘ったれのクセして、基本的に人を頼らない。

結局のところ、いつも、たったひとりで立ってる。

強がりと意地だけで……


恋愛感情のポンコツっぷりだけじゃなく、そのへんもフラれ続けた原因なんだろ。

スキな女のコに頼ってもらえないってのは、オトコとして地味に傷つく。

瞬間、天を仰ぎ呟いた。


「あ~クソッ…、全員見つけ出して殴りてぇっ…」


花美の昔のオトコのことを想像して、勝手にムカつきながら、


――ザマぁミロ…もう、オレのもんだ……


その事実に、なんとか無理やり溜飲を下げた。

目の前に広がる青空から、二階建ての洋館へと、視線を移す。

成久に指定された時間ジャストを確認すると、重厚な木の扉を押し店内に入った。

コーヒーのいい匂い。

話が通してあるのか、そのまま2階に促される。


「……何気に、イイ店見つけんの上手いよな、お前…」


一番奥のテーブルの脇に成久が立っている。

チタンフレームのメガネの奥、

その目は品よく笑いながら、決して穏やかじゃない。


「……今回の情報源。お前に直接会わせないと、話さないってさ」


テーブルに近づくにつれ、成久の陰に隠れて見えなかった情報源が姿を現す。


「あの子を返して」


開口一番、不躾に言い放つ。

さすがというか、予想通り。

とことん上から目線の、可愛げのカケラもねぇオンナ。

無視して椅子に腰かけるオレを、睨んでるんだろう、見なくても気配でわかった。


テーブルに肘をつき頬杖をつく。

脚を組みながら、視線だけを上げて成久を睨んだ。
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