オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
「…や…だぁ」
抵抗する声を出しても、それ以上続かない。
体が…
心が…
ぜんっぜん言うコト、聞いてくれない。
それでもなんとか、氷を支えていない右手で、佐々くんカラダを押し返すと、
ほんの少しだけお互いの上体が離れた。
でも、それは佐々くんが抱きしめていた腕の力を、わざと緩めてくれたおかげだ。
あらかじめ予定されていたように、首の後ろにまわされた佐々くんの左手が、
ゆっくりと私の髪をすいていく。
長い指に私の髪を絡ませたまま、頬で動きを止める。
氷を持っている私の手ごと包み込む大きな手。
さっき、オトコを気絶させた、同じ手とは思えない。
優しくて、
暖かくて、
繊細で…
まるで、壊れ物でもさわるように、佐々くんの両手がわたし頬に触れる。
――ど…どおしよう…
気持ちばかりがあせる。
――こんなトキは…どうしたらいいの?
キス…されるのかな?
上、向いたほうがいいの?
それとも、このまま、待ってたほうがいいの?
わかんない……
わかんないよ……
心臓のリズムに合わせて流れる血の音が、耳の奥でザアザアとやけにうるさい。
佐々くんが耳をふさいでいるせいだ。
ほかには何も、聞こえない。
感じない。
まるで、世界に二人っきりみたい……
――佐々くんと私だけ。
そう、思ったら……
――…佐々くん……
ふるえが止まった。
私の世界ぜんぶ…
ぜんぶが…
佐々くん…だけになる。