嘘つきお嬢様は、愛を希う
「正直、体はなまってるけどさ。でもまぁ、オニーサン頼られれば頑張るよ? 俺たちにとってのサリっぺみたいな──君らにとってのお姫様がピンチって聞いたし。ねー、れいたん?」
「……うん……天使に、頼まれたから……」
「あたしは天使じゃないけど」
小さく溜息をついたサリさんは、俺の前にやってくると何を伝えたいのか悲しげに微笑んでみせた。
「……理月。桐乃ちゃんは、きっと待ってるよ」
「っ……」
「迎えに行かなくちゃ。大切なんでしょ?」
なにもかも分かっているような顔でこつんと胸を小突かれて、俺は思わず苦笑する。
この人の……こういうどうしようもない強さには、いつもとことん敵わねえなと思う。