嘘つきお嬢様は、愛を希う
「…………」
状況が状況だ。
こんなところで俺たちが相手をしている暇はないが、それでも総長としては判断を下しづらい。
ガキどもを信じていないわけではない。
ただ、五分五分の戦力だけ残していくとなれば、万が一なにか予測外のことが起きた時に混乱して戦隊が崩れる場合がある。
そんな俺の懸念を読み取ったのか、後方で静かに状況を見守っていた大翔さんが「仕方ねえな」と声を落とした。
「俺がいなくても大丈夫なら様子を見ようと思ってたんだが、さすがに何もしねえってのもな。こう、なんとも一代目としては居心地が悪いもんだ」
「大翔さん……」
「ここは俺がついてやるから、さっさと姫君を取り戻してこいよ」
ポンッ、と子どもにするように頭を掻き乱され、俺は面食らいながら苦笑する。