嘘つきお嬢様は、愛を希う
「話を戻そうか。数日前、華鋼宛にこんな手紙が届いてね。──この字、見覚えがあるだろう?」
そう言って差し出された紙に恐る恐る視線を落とし、私はぎょっと目を見張った。
──拝啓、華鋼様。
見覚えがある、なんてものじゃない。
このやたらと達筆で神経質そうな字は、間違いなくあの人のものだ。
「……お父さん……」
「この手紙はいわゆる脅迫状だ。君に手を出すな、との旨が書かれている。もし手を出した場合、こちらを許しはしないともね」
ひゅっ、と息を呑む音が響く。
それが自分の発した音だと気づくのに時間がかかった。
まるで心臓が強く握りつぶされているように息苦しい。