嘘つきお嬢様は、愛を希う
「ボクらにとって胡蝶蘭は天敵なんだ。あまっちょろい考えのヤツらの吹き溜まり。見ているだけでも虫唾が走るよ。……ボクらみたいな人間が、善良になんかなれやしないのに」
「っ……」
「まあ、君みたいな恵まれた人間には分からないだろうね。生まれながらに富も地位も名声もある。それだけ恵まれていながら尚、こうも自由を求めようとするなんて……あまりにも贅沢だと思わないかい?」
ああ、なるほど。
そういうことか。
つまり、この男はなによりも私が気に食わないんだ。
胡蝶蘭には言葉にならないほどの嫌悪を抱いているけれど、私に対してはもはや侮蔑しかない。
殺してしまいたいほど、とその瞳が言っていた。
「……あなたの、言う通りだよ」
そして私は、この人になんの言い訳も出来ない。