嘘つきお嬢様は、愛を希う
「私は恵まれてた。たとえそれが鳥籠の中とはいえ、衣食住の心配をすることなく毎日を生きることが出来てたんだから」
だけど、そんな私がなにより乞い願っていたものは、その鳥籠の中には絶対に存在しなかった。
そのことすら気づけずにいた。
私はただただ、自由になりたいのだと思っていた。
「──ねえ、知ってる?」
鳥籠を飛び出した私を受け止めて、それを与えてくれたのは……他でもない胡蝶蘭のみんなだった。
「人は誰かに愛されないと生きていけないんだよ」
何歳になったって同じ。
誰かに存在を認めてもらわなければ、人は簡単に自分を見失ってしまう。
誰かに孤独を打ち消してもらわなければ、人の心なんて簡単に泥沼へ沈んでいく。
溺れて、溺れつかれて、逃れることのない絶望に呑まれて、やがては心も身体も死んでしまうんだ。