嘘つきお嬢様は、愛を希う


◇理月side


途中で待機していたヤツらをひとり残らず返り討ちにし、ようやく最奥の部屋までたどり着いた俺たちを待ち受けていたヤツは、予想していたとはいえ舌打ちが零れた。


華鋼の総長……矢倉柾木。


──そして、ヤツが愉快そうな顔で肘をつく椅子には、服を剥がれたキャミソール姿の桐乃。


意識がないのか、腕をだらんと垂らし、こちらに気づく様子もなく深く瞼を閉ざしている。



「桐……姉……」



ショックを抑えきれない様子で、天馬が震えた声を落とす。



「……ずいぶんふざけた真似をしてくれてんじゃない?」


「事の次第によっては、手加減も出来なくなるくらいには……ね」



さすがに瀬良と風汰も怒りを堪えきれない様子だった。
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