嘘つきお嬢様は、愛を希う


「先輩は敬うようにっていつも言ってるよね? 総長だろうがなんだろうが、失礼な態度は慎むように」



わかった?と首を傾ける風汰先輩の目は少しも笑っていない。


さすがの私もひやりとしながら、その場から二歩後ずさる。


今のはちょっと痛そうだったよね……。


この穏やかそうな顔からは暴力的なことは想像できないけど、実際目の当たりにしてしまえば、ここがあくまで〝族〟なのだと実感せざるを得ない。


ことの次第を見守っていた天馬が、哀れなものを見るような目で理月の隣にしゃがみこむ。



「ご愁傷様っす、総長」



櫂さんや瀬良さんのとくに驚いた様子もない反応を見ると、きっとこんなことは日常茶飯事なんだろう。


どっと疲れが押し寄せて、私は深くため息をついた。


考えてみれば、こんなにも誰かに本心のまま対抗したのは初めてかもしれない。


相手は暴走族の頭である総長だっていうのに……。

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