嘘つきお嬢様は、愛を希う
「というわけで、改めてみんなの紹介するわね」
あいも変わらず離そうとはしないまま、瀬良さんは頭上から私を覗き込んでくる。
「アタシは日比谷瀬良。そこの風汰と同い年で基本的に荒事担当よ」
「あ、荒事ってケンカとか?」
「そうそう、ちなみに天ちゃんもね」
天馬も……?
血なまぐさい殴り合いの光景が頭に浮かんで不安に駆られる私に、瀬良さんは優しく微笑んだ。
「大丈夫、天ちゃんは防衛担当だからそこまで危険じゃないわ。正面突破はアタシと風汰の役目」
「風汰先輩も?」
「ふふ、あんな緩そうな顔してるけど、ここで一番荒いのは風汰よ。ちなみに櫂さんは一番の古株で基本的には参謀担当ね。たまに前線にも出るけど」
自分のことを挙げられた櫂さんは、あまり興味がなさそうな顔をしながら慣れた仕草で眼鏡をかけ直す。
「出来るものなら表には出たくないからな。とくに今の時期は揉め事を起こすと将来に支障が出る」
「櫂さんはいま大学四年生なのよ」
え、と思わず声が漏れそうになる。
大学四年生ということは私の五つ上だ。
落ち着いた大人っぽい雰囲気から年上だろうなとは思っていたけれど、予想よりも離れていて驚く。