暴君と魔女
「・・・・凄い・・・な」
さすがにその景色に称賛の声をあげ、枯れ木にあっという間に咲いた白い花に見惚れてしまう。
四季が見たら・・・・。
きっと・・・喜んだ。
そんな事を思い口の端を上げ、降り積もった白い道をキュッと音を立てて歩きだした。
記憶の回想?
まだ現実に戻れていないのかと足を止める。
だけど、さっきの回想よりはっきりと体に響くそれ。
むしろさっきの回想など全く鮮明で無かったのだと気づかされたそれに、無意識に頬に流れた涙にも気づかない。
なんだ・・・コレ。
気が狂ったのかと自分の意識を疑うのに、確かに耳に入りこむ旋律に変な動悸が走って苦しい。
まだ消えないでくれ。と変に焦るのに、そんな心配など不要の様に響く旋律に視線を走らす。
だって・・・、俺が間違える筈がない。
あれのおかげで俺がどれだけ救われたか、どれだけ愛おしいとおもったか。
それを奏でるあの姿を・・・・・、
どれだけ求めて苦しんだか・・・・。
今も頭に残るセイレーンの歌声。
そして、今・・・、
耳に響くセイレーンの歌声。
幻聴の類でないとやっと判断すると、微かに響くそれを辿ってその姿を探す。
心臓が煩い。
いっそ止まれ!
いや・・・、まだ止まらないでくれ。
その姿を確認するまでは。
そんな無茶苦茶な意識で足早に歩き続け、響く声がその耳に大きく響く様になった瞬間に捉えた姿。
舞い落ちる雪に阻まれぼやける姿は何かの幻の様で、雪のせいでなく白に覆われているその姿は亡霊のようにも見える。
瞬間、桐子さんの言葉を思い出し。
直後に全て繋がり感情の決壊。
焦り、悲哀、落胆、憤り、全て入り混じって混乱するのに、何よりもゆるぎなく働いたのは、、
歓喜・・・・。
捉えた姿は自分の記憶力を疑うほど綺麗な魔女の姿。