暴君と魔女
ねぇ、望様・・・・・。
私がどんな想いで、
あなたとの契約で結ばれた時間を過ごしていたと思いますか?
「抱かせろ・・・・」
そう言われた瞬間に、
もうすでに、魔女としての自分が殺されかけていたんですよ。
キスを重ねるごとに何枚にも重ねていた魔女である証しをはがされて。
肌を合わせる事にただの女に落ちゆく自分に畏怖するのに歓喜して。
溺れて溺れて・・・、
そしてその熱を離した時に必死で剥がされた物をかき集めて纏っていたんです。
だけども繰り返すたびに一枚一枚その衣を失って、愛を得る度に失う力に嬉しいのか悲しいのかも分からなくて。
それでも私を求めてくる姿に最高の至福。
もう・・・、望様が許すのであればただの女でもいいと思ってしまう程。
そのくらいまた溺れて牽制される。
予測できなかった望様の不幸。
傷で済んだ事に安堵と戒め。
もしかしたら・・・・また失っていたかもしれない。
読めた筈の先を見落として、
傍にいる事さえ叶わなかったかもしれない。
魔女の・・・・復活。
女の自分を必死で殺し首を絞め深く沈める。
この行為で望様に嫌われても、力のみで傍にいれるのなら本望だと仮面をつける。
それが私の愛しかた。
通い合わせられなくても、ただ傍にいる事が可能ならそれがいいと選んだ筈なのに。
「俺はお前を愛してる。・・・・そんな力が無くても、
お節介でも、馬鹿でも・・・・。
その眼と、声と、心さえあればそれでいい」
いとも簡単に魔女を打ち破るのは愛の言葉。
絵本さながらにその力には勝ち目がないのだと理解し、愛を得た女の何よりも強い感情。
もう何がどうなろうと・・・・この人を拒む苦痛以上に耐えがたい事はないと恐怖も手放し受け入れた。
あれ以上の歓喜は無い。
幸せで幸せで・・・・、もう、どんな牽制をされようと離れられないと思った。
離れるつもりもなかった。
離れたら・・・・本当は弱いこの人はきっと壊れるとも理解していたから。
もう二度と・・・離れない。
そう誓った瞬間の牽制。
やはり私はこの力を呪う。