暴君と魔女
「言え・・・・四季」
「違います・・・」
「頼むから・・・」
「・・・っ・・」
「四季っーーー」
名前を呼んで、やっとその姿を見降ろした。
近づけば分かる変わらない美しさ。
細く柔らかい髪が雪をかぶって軽く湿り、光の反射で時々光る。
見降ろす角度からの長い睫毛も変わらない。
今すぐにでも抱きしめたいくらいの衝動に歯止めをかけているのは、・・・・絡まないグレーアイだ。
なぁ、頼む。
その眼に俺を映して・・・、
そして・・・、言ってくれ。
「その子は・・・俺の子だろう?」
俺の声が静かに響いた瞬間に四季の頬をゆっくりと伝う涙。
それが答えにも感じるのに戻らないグレーアイの眼差しと、追って返される四季の声。
「・・・・違います」
返された言葉にチクリと痛み、その痛みで眉根が寄る。
何故?
ここまで来て何故?
四季の腕に大切そうにしっかりと抱かれているのは、まだ生きることだけに必死な小さな存在で。
四季を感情的に抱いていた事を思い返せば間違いないと、自らそれを認めるのに。
「・・・っ・・・四季、」
「・・・・・」
「俺の子だろ?・・・・・・そう、・・言ってくれ・・・」
「・・っ・・・・」
懇願するように視線を落として声を響かせるのに、首を横に振り無言を返事とする四季の姿に辛くなる。
なぁ・・・・言ってくれ。
お前がそれを言ってくれなければ・・・・・、
許して・・・くれなければ・・・・・、
「その子を愛せないじゃないか・・・・」
俺は・・・・、
自分の子であるなら俺とは違う親の愛情を感じて大人になってほしいんだ。
俺は・・・・与えたい。
それを求めるばかりだったあの時間とは違って、
四季から与えられるばかりだったあの時間とは違って、
ただ・・・・愛したい・・・・。