暴君と魔女
絞り出すように口にした本音。
もうこれ以上の感情は示せないと言うほどの感情の塊。
そうして不動になり、ただ雪積自分の足元に視線を落として息を止める。
気がつけば掴んでいた四季の肩。
相変わらず細い華奢な体だと防寒着の上からでも感じてしまう。
こうしている間にも降り続ける雪が動きの無い自分達にしっかりと降り積もって、あまりの沈黙にその落ちる音さえ聞こえるんじゃないかと思った。
瞬間に響く四季の声。
「・・・・違います」
その変わらない言葉に瞬時に心も冷やされる。
「・・・望様の子供じゃない」
今度は、はっきりと告げられた否定。
お前には、その資格がないという拒絶の響きに掴んでいた肩の手からゆっくりと力を抜いていく。
「『私の』です・・・・・」
一瞬の思考。
言われた言葉を脳内に反響させ、それを捕まえ解読していき視線を上げる。
そうしてまっすぐに絡む、
酷く透き通るように綺麗なグレーアイ。
それが感情の様に揺れ動いて俺の姿を映し込む。
「・・・・四季?」
「『望様の』じゃないです・・・・」
そう言いながら細く白い指先が腕に抱いている子供の頬をそっと触れる。
半分くらいその顔を覆っていた布をよけて、その顔をはっきりと俺に確認させると今度は俺の頬にその指先が触れる。
冷えて冷たい筈の指先が熱く感じる。
まるで・・・呪いの解ける瞬間。
「望様と私の子供です・・・・・」
「・・・っ・・・」
「望様1人の力で生み出せるものではないでしょう?」
「・・・っ・・・馬鹿女」
言葉遊びで俺を翻弄するなんていい度胸だな。
緩めていた手が再びしっかりとその肩を掴むと、今度は引き寄せ自分の胸にしっかりと抱きしめる。
四季の腕にいる存在を意識しながら包み込むように柔らかく抱きしめ四季の冷たい髪に顔を埋めた。
「・・・・いきなり・・・・いなくなるな馬鹿女」
「・・・・すみません。・・・・・あなた以上に愛さなければいけない物が出来たので」
その言葉に力なく笑う。