暴君と魔女
ああ、確かにこの存在には勝てないのかもしれないという諦め。
そうして確信をつく。
「・・・・・あの日、お前が見た物は・・・・この子の行く末か?」
問いた言葉に四季が息を飲む。
その反応で答えを理解するも追って肯定する四季の声。
「あの瞬間・・・、傍を離れないと決めた瞬間に・・・まるで人生を早送りしたように垣間見た未来に不安を感じたんです」
「・・・・・いい・・・未来ではなかったか?」
「・・・・・男の子なんです」
その言葉一つで・・・・、俺に特殊な力は無いが何となくその未来を垣間見る。
大道寺の・・・・男・・か。
身分そぐわない女との子供であろうが・・・・、
きっと、俺の様な人生を押し付けられるんだろうな。
そうして、下手したら・・・俺の様な人間になるのだろうか?
それを恐れて・・・四季も離れた?
何となく理解したそれに、四季が見た物を確認しようと口を開く。
「・・・・愛のない大人に・・・なるのか?」
一番の懸念事項を口にすれば僅かな無言の後に首を横に振る四季。
少しだけ安堵した。
「この子は・・・好奇心旺盛で、自由で、元気な子」
「・・・いい事だな」
「でも・・・だからこそ縛られるのを何よりも嫌う」
「・・・俺といたら・・・、あの家にいたら嫌でもその時が来るのか?」
「・・・それは・・・、望様が一番に理解している事でしょう?」
そう言って見上げた四季の表情は微笑んでいるのに悲しげで、俺を蝕んでいた呪いが子供にも継続すると暗に示す。
ああ、あの苦しみがこの我が子にも絡みつく?
自分をずっと苦しめた重みがこのあどけない姿にすでに絡みついている。
それを思えば、四季が俺の傍を去ったのは納得できる。
母親として、その重みを目の前で見て知っていたから守りたかったんだな。
それは、俺が望まないことだとも知っていて、俺との愛も守る事に繋がっていたんだな。
「・・・やはり、お前の愛しかたは大きすぎて真似できん」
困ったように頬笑みそう言いきると、同じように困った笑みで俺の頬をくすぐる四季。
まるでそれが最後の抱擁の様にしっかりと俺の顔に触れて確認しているようで。
それをはっきりとさせる四季の言葉。