暴君と魔女
そして舞っている白いそれに意識を走らせ思い出したように笑ってから四季の目を覗き込んだ。
「・・・・悪いな。・・・急ごしらえだから、約束してた指輪もムードも全くない」
「・・・・のぞーーー」
「でも・・・雪景色の中だ・・・・」
そこまで言えば四季も間違える事なく理解し、そのグレーが涙で潤む。
言えないと思っていたし、聞けないと思っていたよな?
お互いに・・・・馬鹿な愛しかたの相違。
狂おしいほど愛し合っていたというのに。
「俺と・・・・一緒になってくれ。
傍にいて・・・また、あの声で歌ってくれ・・・・」
「・・・っ・・・ううっーーーーーー」
四季の頬を流れる涙がその頬で解けていた雪と混じって落ちる。
それすらも幻想的で綺麗だと感じる俺はどうかしてるのか?
俺らしくもない。
・・・いや、今までの俺らしくないが正解か?
そうか・・・・呪いからの解放・・・・。
「狡い・・・ですよ」
「・・・ん?」
「ムードも何もないだなんて前置き打って油断させて・・・・、
こんな最高のプロポーズされると思ってなかったです」
思わず噴いた言葉にそのままくっくっくっと笑い声を零してしまえば、涙目で不満げに睨み上げてくる四季の姿。
それにそこまで心にない謝罪を口にし頬の涙をぬぐっていく。
「・・・・すまないな。お前と違って生まれながらに全てが完璧なんだ」
「・・・・よく言いますね。愛が欲しいと泣いておられたのはどなたですか?」
「・・・・お前には嫌な弱みを握られたものだな」
「惚れた弱みと言うらしいのですよ」
「いや・・・・呪いだろ」
そう告げて、思い出した最悪な呪いを疑問顔の四季の耳元で囁いてみる。
「俺も秋光も、あの蜂蜜漬けのパンケーキが今も焼きついて離れないぞ」
その言葉に噴き出したのは今度は四季だ。
涙目を笑みで歪ませて、クスクスと笑うと俺の顔を覗き込む。