海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


「ほんとの気持ち、教えて......」


胸が大きく跳び跳ねた。


折山さんに少し涙目で見つめられて、心臓が止まりそうになる。


ほんとの気持ち......?


折山さんは、俺の気持ちに気づいているのか...?


それとも、試されてる...?


わからない。


だけど、俺の本当の気持ちなんて...

「...言えない」


だって、俺がどれほど折山さんのこと好きか、わかってる?


俺がなにを考えているか、わかってる?


折山さんのその華奢な体に触れたい。


その白い肌にも、サラサラな綺麗な髪の毛にも、

さくらんぼみたいな唇にだって、全部触れたくてたまらない。


折山さんの笑った顔も真剣な顔も怒った顔もすねた顔も、

透き通るような可愛い声も、

全部全部、俺のものにしたい。


他の男になんかやりたくない。


俺だけがひとりじめしたい。


......そんなこと、


言えるわけないだろう。


折山さんの背中を追いかけることはできなかった。


ただ、見つめることしかできない。


そんな、届かない人。

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